院長ブログ

2017-03-27 11:30:00

みんなのジャズ

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 先日、仙台駅構内の店で牛タン定食を食べました。その店に入ったとき、BGMには女性ジャズボーカルのナンバーが流れていました。あまりよく知らないアーティストも流れていましたが、ブルースの女王エラ・フィッツジェラルドがけっこう続いて、女性ボーカルのナンバーとしては最も好きなヘレン・メリルの「You'd be so nice to come home to 」(貴方が待つ家に帰っていけたら幸せ)が来たときは思わず『いい店だねえ!』と聞き入ってしまいました。
 考えてみればこのBGMがジャズのお店なんてよくある話です。うちの病院も実はUSENでジャズスタンダードのチャンネルを利用してます。フレンチやイタリアンのレストランでさえシャンソンやカンツォーネではなく普通にジャズが流れてますよね。
 ではなぜ牛タンのお店がジャズボーカルを使い、いろんなお店でジャズがで流れているのでしょう。私が初めてジャズを意識したのは小学校低学年の時、テレビで『素晴らしい世界旅行』という番組の中で流れた「Take Five」 というナンバーです(聞けばだれでも、ああこの曲ね、とわかります)。当時は西郷輝彦、舟木一夫、橋幸夫が当たり前の時代に子どもながら「なんだろこの曲は!」とテレビにくぎ付けとなり、曲名だけは忘れないように何度も「ていくふぁいぶ、ていくふぁいぶ…」と暗唱したのを覚えています。なに気取ってんのよ、とお思いでしょうが、ほとんどの皆さんは日本人でありながら、いろんなシチュエイションのBGMとして日本由来の民謡や演歌ではなく、ジャズのほうを圧倒的に受け入れているはずです。もちろんクラッシクやイージーリスニングも支持はされていますが。
 学生時代に読んだアンドレ・フランシス著 (前野律 訳)「ジャズの世界」という本によりますと、ジャズの起源はアメリカ新大陸に奴隷として連れてこられた人たちが、自分たちを励まし慰めるために生まれた楽器を使わないで歌う黒人霊歌、と言われています。それが様々な変遷を繰り返し現在のような多彩な形になったそうです。
 これは自分なりの想像ですが、日本の歌の9割は恋愛を歌った曲だそうですが、演歌のように実らぬ恋の苦しさを同じようなメロディで聞かされるより、ジャズのように『苦しくてもそのうちきっといいことあるさ』ってノリノリのリズムで語りかけられる方が、クライアント(お客さん、患者さん)も自然と購買意欲や食欲が出て、歯科治療の恐怖心も軽減されるような気がします。
 でも実際はよくわかりませんね。ただ心に響くいい歌が流れていて、貴方が待つ家に帰っていけたら幸せ…ですね。
2017-03-11 11:28:00

歯科医師の使命⑮

 
 201703151823207575.jpg今週は市内の入院設備のある医療機関に往診に行ってきました。大きな総合病院ですと歯科が併設されてる場合もありますが、この医療機関では院内に歯科がなく入院している患者さんの口腔内に問題が起きた場合、外部の歯科医院に協力を求めることになっています。
 入院患者さんと歯科のかかわりのポイントはおおざっぱに言えば2つあります。一つは歯にトラブルが生じ食事に障害が起きてしまった場合です。入院患者さんの場合その病状がどれだけ迅速に改善するかどうかは、点滴などの栄養ではなくいかに早く一般の食事に移行できるかにかかっているそうです。もう一つのポイントは手術前後の口腔ケアです。ご存知のように口の中は管理をおろそかにするとばい菌の供給源となります。例えば重度の歯周病ですと、歯周病菌が歯肉の血管に容易に入り込み血液によって全身に運ばれることが考えられています。つまり大きな手術では身体に大きな傷口を作るわけですから、外部からのばい菌の侵入を防げたとしても自身の口腔内から簡単にばい菌が侵入してくることになります。このことから、手術前後の口腔ケア(特に口腔清掃)は非常に重要だと今では当然のことと認識されています。
 もともと栗原市の栗原中央病院では、入院前後の口腔ケアについて写真にあるように栗原市歯科医師会と共同でパンフレットを作成し、入院患者さんに配布することで歯科の受診を勧めていました。また大崎市の大崎市民病院では、これからがん患者さんをはじめ手術をする患者さんにおいては原則として術前に全員歯科を受診するよう勧められることになりました。
 今までは歯と全身の関連を声高に主張してきた我々も、いざこのような役割を与えられると緊張感と責任感も大きくなり仕事のテンションが上がってきますね。我々の微力な協力ですが一日でも早く入院患者さんが退院されることを願っています。
2017-02-20 11:25:00

歯科医師の使命⑭

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  先日の2月5日は千葉県千葉市で開催された日本補綴歯科学会東関東支部学術大会に参加してきました。この学会の主体となる大学は明海大学歯学部、日本大学松戸歯学部です。前回の西関東支部とは若干趣は違いますがインプラントを中心としたものとコンピュータ制御の補綴物(かぶせもの)の研究がやはり主力でした。また専門医となるためのプレゼンテーションとして臨床報告(治療の実例の報告)がいくつかありました。私は臨床家ですのでやはり臨床報告を中心に見てきました。
 さて、学会と言えば最新の機器や装置、材料が百花繚乱ですが、特に臨床においては基本的な学理に忠実な治療を行ってこそ最新の機材が生きて来ると考えます。最新式の機材や材料があればどんどん病気が治せると思いがちですが、いくら最新式の機材を使ったにしても基本を守らなければそれは高いレベルの治療とは言えません。最新式の機器というのは歯科医師ファーストにできていますから比較的容易に使いこなせるようにできています。しかし逆に基本的な術式をすべて頭に入れて遂行するのは決して容易ではありません。つまりハイレベルの治療とはまずは基本に忠実な治療であり研鑽を積み重ねた熟知と熟練が必要であると思います。
 ところで前回の学会の開催地は横浜でしたが、今回は千葉と聞いて『千葉っていったい何があったっけ?』と考えてしまいました。どちらも東京から近く海が見えますがそのネームバリューの差は人口の差だけなのでしょうか?横浜と言えば海と港、異国情緒のイメージで、昔の横浜がらみの歌謡曲なら『よこはま・たそがれ』『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』『横浜イレブン』『恋人も濡れる街角』と一気に出てきます(古い!!それにしても古い!!)。さらにみなとみらい21や横浜中華街、野球では旧横浜ベイスターズ、サッカーでは横浜Fマリノスなどからんだアイテムが目白押しです。
 ところが千葉と言えば「なんか歌ある?」、「ディズニーランドって浦安だよね?」、「ロッテって千葉が本拠地だっけ?」、「サッカーチームは…そういえばジェフユナイテッド千葉があったなあ。J1なの?」っていうくらい千葉市の皆さんには申し訳ありませんが印象薄いです…。今回は横浜のみなとみらい21のような思わず唸るような景色もなかったせいか、うっかり千葉市の代表的な風景写真も撮ってきませんでした。すみません。かわりに学会のプログラムの写真を載せております。せめて何かうまいものがほしいですね…。

2017-01-31 11:22:00

テニスシーズン開幕

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  先日、テレビで男子の全豪オープンテニスを観ました。テニスは野球ほど詳しくありませんが、見るのはわりと好きです。その決勝はR・フェデラーとR・ナダルでした。ジョコビッチもマレーももちろん錦織もいない、まるで数年前にさかのぼったかのような組み合わせです。お互い永遠のライバルですからどうせ最後まで行くだろうと思って途中から見たら、やっぱり第4セットで2-2となっており予想通りファイナルセットに突入しました。
 それにしても終わるまで本当に壮絶な試合でした。いろんなスポーツでよく聞きますが「流れ」という言葉があります。この試合でもナダルのサービスゲームで、もしこのポイントを取れば流れは絶対フェデラーに傾きゲームをブレイクしそのまま流れに乗ってセットを奪取、つまり試合に勝てる(優勝する)だろうというポイントがありました。そしたらフェデラーはそのポイントを完璧に取り、ゲームをブレイクしたかと思ったらそのまま一気にセットを奪い優勝しました。
 大相撲、新横綱の稀勢の里も昨年まで「ここで勝てば優勝」、「ここで勝てば横綱」という一番をことごとく落としてしまい、何度もガッカリさせられました。やはりグランドスラムで優勝あるいは大相撲で優勝するようなアスリートはここで勝たないと、というときは絶対勝つものなんでしょうね。今年の稀勢の里はその壁を破りやっと流れを引き寄せたということでしょう。
 ところでだいぶ前から人が瞬発系の運動するとき、より多くの歯でしっかり強く噛むことでより強い力が出ることがわかっています。毎年瀬峰中学校でおこなっている歯科講話では、このことを話しするためにトップアスリートが強い力を出す瞬間に歯をくいしばってる写真をよく生徒さんたちに供覧します。そのためこのような写真をいつも探しますが、以前ナダルが強烈なサービスをしている写真を見たとき「あっ!?」と驚きました。なんと「口を開いてる!?」のです。とても例外的なのですが中学生にはちゃんと見せて「こういう選手もいるけど…』と話をしてました。
  それで現在休業中の女子プロテニスのシャラポワがショットを打つたびに大きな叫び声を上げるので、多くの対戦相手からクレームが出ていました。それに関してある情報番組がプレー中に大声を出すとどうなるかという検証実験をしました。結果は大きな声を出したほうがより強い力が出るということがわかったみたいです。考えてみればナダルって打つたびにいちいち「アーッ!!」、「アーッ!!」と叫びます。そうなんです。アスリートが瞬間的に強い力を出すためには歯を食いしばりますが、口を開けても強い力を出せるのは大きな声を出すからなんだという結論に達し妙に満足してしまいました。まあナダルもフェデラーよりまだまだ若いのでこれからも頑張ってほしいですね。
 そういえばコロチキのナダルってなぜその呼び名なんでしょう。相方は西野って普通の名前なんですけど…。
2017-01-25 09:10:00

歯科医師の使命⑬

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 去る1月22日(日)は神奈川県横浜市にある神奈川県歯科医師会館で開催された日本補綴歯科学会西関東支部学術大会に出席してきました。支部学会はその地区にある大学が中心となって発表しますから、全国の大学が総出で参加する春の本大会とは異なり、どちらかと言えばこじんまりとした内輪の学会です。また、本大会の費用も規模も大がかりなものと比べると比較的身近でわかりやすい発表が多い気がします。それぞれの大学によって得意分野がありますから『へーっ。こんなこと研究してんだ!』と感心したり驚いたりすることも多いです。
 今の学会ではインプラント(歯の無い顎の骨に人口の歯を埋める治療)全盛ですが、まだまだ取り外しの義歯(入れ歯)のほうが圧倒的に多いので昔ながらの治療方法で入れ歯の研究発表が出てくると『入れ歯って本当に難しいよなあ。』と実感します。また最近の流れとしてかぶせる歯、詰める歯を人の手ではなくパソコンの制御により機械が作る方法が本格化してきています。今回も入れ歯を3Dプリンターが製作する発表がありました(実用化はまだ難しいようですが・・・・)。いわゆるAI(人工知能)の波が我々の領域でも確実に押し寄せてきつつあります。オックスフォード大学によりますとAIの進歩によりいずれ消滅する職業の中に義歯制作技術者がはいってました。しかし我々は患者様の気持ちを重視し痛みを診ますが、これはAIがいかに進歩しようとも凌駕不可能でしょう。人間でなければできない仕事は最後まで残されていますからね。
 その大昔、『宇宙家族ロビンソン』というアメリカのテレビ番組でロビンソン一家が購入したお手伝いロボットが一家と暮らすうちに喜びや悲しみを覚え、最後は性能的には不可能なはずの『涙を流す』までになってしまいました。ロボットの売主は仰天して「売った値段では売れない」と言って連れて帰ったという話がありました。もしそんなロボット(AI)が出現したら大したもんですがね。