院長ブログ

2016-03-20 00:23:00

地球温暖化と日本人の起源(後編)

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 さて、昨年12月12日のブログ『地球温暖化と日本人の起源(前編)』では地球が氷河期だったころ海の水位が下がったため海底が現れ、中国大陸と日本は歩いて行き来できたと書きました。では今の日本人の祖先は単純に大陸から渡ってきたのでしょうか?また昔アメリカ大陸をコロンブスが『発見』しましたが、実際にはすでに先住民族がいたわけでこれらの人たちはいったいどこから来たのでしょう。
 以前より、人類はどこで生まれてどの大陸にどうやって歩んで行ったのか、ということにとても興味がありました。そして、どう考えても徒歩しか無い時代にどうやってこんな広大な地球の隅っこにまで人間が行けたのだろう、何のためにわざわざそこまで行ったのだろうと不思議に思い関連書物を何冊か読みました。一番参考になったのは片山一道先生の『海のモンゴロイド ポリネシア人の祖先を求めて』と埴原和郎先生の『日本人の誕生 人類はるかな旅』ですね。
 まず、日本人に関しては大きく分けて2つの説があるようです。一つ目は片山、埴原両氏が唱える南方から縄文人が日本に向かって北上しさらに北海道まで到達し、その後中国大陸から本州に渡ってきた弥生人(渡来系)によって縄文人との混血が進んだという説。これによれば縄文人は本州での混血により北と南に分断されたわけだから本州の人間と琉球の人間では顔の雰囲気がちょっと違うが、アイヌの人間に似ているのだよという論証。うーん言われてみれば確かにそうかもしれませんねえ。もう一つは主に松本秀雄大阪医科大学名誉教授らが提唱するバイカル湖起源説です。これは日本人は北のバイカル湖周辺からやってきたというものです。どちらかと言えばこの説には反証も多くやや劣性の感じがしますが、昨年沖縄で発掘された原人を調べたところ、どうも起源は日本本島にあるようだという驚きの調査結果が出ました。つまり琉球の原人は本島から渡ってきたのだということになります。さーて日本人はどこからやってきたのでしょう。
 でももっと難解なのは南アメリカ大陸南端に住んでいる先住民の祖先はいったいどこから来たのかですね。南米先住民のDNAを調査した研究によると、どうやらモンゴロイドと同種であることがわかっています。つまり中国大陸からはるばる北アメリカをもちろん超えてあそこまで到達したわけです。えーっ!!どーやって!何のために!そう思いませんか?考え出したらあまりにも壮大で人類のあきれるほどのエネルギーに驚嘆するばかりです。は~書き始めたら終わらなくなってしまいました。また後日別枠で書きたいと思います。
 

2016-03-11 00:22:00

歯科医師の使命⑥

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また思い出したくない、でも忘れるわけにはいかない日が来ました。東日本大震災の記憶はいまだにほとんどあの時のままです。私の生まれ育った家は気仙沼市内に有り、しかも海岸から100m以内のところで、石を思い切り投げれば海に届く距離でした。そしてあの津波です。木造の我が家は簡単に倒壊してしまいました。気仙沼に帰っても懐かしの実家はもうありません。すでに更地となりそこには災害復興住宅が建つ予定です。ただ近親者に震災で亡くなった人間がいなかったことは不幸中の幸いであり、家一軒で済んだのだからと慰めていました。 
 しかしあの震災で自分が最も衝撃を受けたのは、遺体の検案(身元確認)作業でした。震災による遺体の身元が明らかになった方法で最も多いのは衣服や所持品ですが、次はDNA鑑定や指紋ではなく歯による鑑定です。これはどこのだれかわからない人を特定すのではなく、『この人は○○さんでは・・』という時に過去の歯の治療歴(カルテ)と実際の口の中を照らし合わせるとかなりの精度で特定することができます。
 震災時、わずかな時間ですが南三陸町でこの作業に従事しました。次から次と運ばれてくる遺体にせかされるように検案作業取り組みました。黙々と遺体捜索に繰り返し繰り返し寒空の下に突き進んでいく自衛隊の皆さんの気力に圧倒され励まされ仕事をしたものの、何十という棺が並んだそばで行うという異様な状況で『これは現実か!?本当に現実なのか!?』と空虚感にさいなまれながら取り組んだことをついさっきのことのように思い出します。
 3月8日現在、まだ2500人以上の人が行方不明、身元不明の人も75名にのぼるそうです。そして我々の仲間である警察歯科医が現在も日々検案作業に従事しています。同じ歯科医として誇りに思い敬服しつつ、一刻も早く行方不明の方々が発見され、身元が明らかになりご家族のもとへ帰れるよう願ってやみません。
2016-02-26 00:19:00

鉄平と言えば楽天

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 元オリックスの土谷鉄平氏が東北楽天のジュニアコーチに就任しました。そうです元楽天の鉄平です。3年前、楽天からオリックスに移籍しましたが、残念ながら引退することになりました。鉄平の名を全国に知らしめたのはやはり首位打者を取った楽天在籍時代ですので、引退後は楽天に戻ってくるのが一番でしょう。楽天ファンはもちろんジュニアの子供たちも大喜びでしょうね。そのほかにも永井元投手や西村元内野手などがジュニアコーチですから、多くの子供たちが集まることでしょう。もとは中日に大分の津久見高校から入団し、2軍ではいつでも1軍に上がれるほどの卓越した成績を収めていました。しかし当時の中日では周囲の心配をよそに『補強はいらない。現有戦力を鍛えればよい。』という落合監督の理念のもと本当にリーグ優勝してしまうほどの完璧な外野陣でしたから、その中に入っていくことはほぼ不可能でした。そしてこれまた落合監督の温情のもと、鉄平の才能を埋もれさすのは誰にとっても損失だということから金銭で楽天に送ってよこしたわけです。当時の楽天は他のチームの1軍半選手ばかりが集まっていましたから野村監督の徹底した打撃理論のもとレギュラー選手として一気に開花したんでしょうね。こういう2軍からのたたき上げで練習をよくやってタイトルを取る選手はとても好きですね。
 野村監督が『うちで最も練習するのは鉄平だ』と公言していたように2009年首位打者を取ったのも当然と言えば当然でした。しかし翌年からけがに泣かされることが多くなり、悲しいかなほかにトップレベルの選手が楽天に少なかったため選手会長をやる羽目にもなり、タイトルホールダーとしての焦りも重なり満足な成績を残せませんでした。結局オリックスに後藤選手とのトレードで移籍しましたが、挽回することはできませんでした。しかし楽天での輝きが失せることは絶対ありませんからファンにとっては『楽天の』忘れられない選手としてこれからも永く語り継がれるでしょう。
 さてオコエ選手。予想どおりの1軍帯同でチームトップの9打点(2月27日現在) はすごいです。ただ春先は投高打低ですのでこれから主力打者はペースを上げてくるはずです。それに飲み込まれずそれこそ高卒で開幕スタメンを勝ち得た元中日の立浪選手のように早くレギュラーを獲得してほしいと思います。あと、早く「広報」から外野の定位置に戻ってきてもらいたいですね。
2016-02-12 00:16:00

歯科医師の使命⑤

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 最近は歯周病についての情報が多いせいか、すっかり虫歯菌の影が薄くなったような気がします。とにかく歯周病菌は様々な全身疾患とのかかわりが指摘されており、主なものでも糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、肺炎、認知症、人工関節関節の術後不良等々数えたらきりがないほどの悪者です。しかし元祖悪者の虫歯菌だって相当なものです。たとえば脳静脈血栓症という脳内の静脈に血栓ができる病気がありますが、実は虫歯菌がその原因の一つであることがわかっています。脳へは血液脳関門などがあり簡単には有害なものは進入できません。しかし重症の虫歯があり、体調不良や感染症などにより条件が悪くなると脳まで虫歯菌が到達し重篤な血栓症に発展することがあります。実際に死亡例がありますから恐ろしいですね。
 ところが今月初め国立循環器病研究センター(大阪府)の報告によりますと、虫歯菌の中には血が止まりにくくなる特定の遺伝子を持ってるものがあり、この種の虫歯菌を保有している人では脳出血の発症につながる可能性があるということです。血を固まらせて問題を起こすかと思えば、今度は出血させて困らすなんてほんと厄介ですね。
 いずれにしても口の中を不衛生にしておくのは、百害あって一利もないですね。
2016-01-26 00:13:00

歯科医師の使命④

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 昨日は栗原市の乳幼児歯科健診(3歳)に行ってきました。宮城県は少なくとも20数年前から全国的に乳幼児にむし歯罹患率が高いことが問題になってました。県歯科医師会としても様々な原因究明の調査、検証を行いました。理由としてはむし歯は先天的なものではなくあくまで出生後の生活環境の影響が大きいので家族のむし歯に対する認識が不足しているのではないかとか、大家族が多いのでおじいちゃんおばあちゃんがおやつを与える機会が多いのではないのかとか、われわれ歯科医師の健診の仕方が相当厳しいのではないかなどとも囁かれましたが明確な解答を得るには至っていません。さらに宮城県の中でも栗原市は下位に低迷していましたので市の所轄課の焦りも大変なものでした。それで我々歯科医師会との連携のもと他の市町村より乳幼児の歯科健診や口腔衛生指導の機会を増やすようにしました。これでしばらく頑張ったものの目立った効果が得られませんでした。
 次にとった方策は、母親の教育の究極は子供がおなかにいる時だとし妊婦さんの無料歯科検健診(希望者)を行うことでした。実はむし歯菌を多く保有している母親から生まれた子供は出生後むし歯菌に感染する確率が高く(つまりむし歯は感染症)、母親の口の中をきれいにし子供への感染を予防しようという考えもありました。ただこれは妊婦さん全員に受診してもらえるわけではなく効果は限定的ですので、全ての妊婦さんに受診してもらう必要があります。
 さて直近のデータは手元にありませんが、数年前のものでは明らかに栗原市も宮城県もなんとか低いランキングから抜け出しつつあります。全国各地で歯科医師会とともに自治体が徹底的な虫歯撲滅の対策をとっているわけですから他の自治体よりランクを上げるのは並大抵ことではありません。しかし我々歯科医師の最終目標はとにかく虫歯ゼロであり目標達成のために現在奮闘中です。
 ところで健診が終わっての感想は『開業したころ(約30年前)と比べるとほんと子供が少ないなあ。未来は大丈夫か・・・。』でした。