院長ブログ

2019-04-28 18:17:00

歯科医師の使命㉗

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 一昨昨日は瀬峰小学校に歯科検診に行ってきました。瀬峰小学校の歯科校医は私を含め2名で今年は1~3年生の低学年を検診しました。口の中の状況については、最近お話していますように10年以上前と比べると虫歯を持つ生徒さんあるいはその持っている虫歯の数はぐっと減っていることですね。しかしその中に一人で多くの虫歯を抱える子供さんも相変わらず何人か見られることも変わらずです。
 とにかく小学校低学年ですと、表情やリアクションが素直で検診しててもとても楽しいですね。先生の言うことはよく聞くし、それ以上に私の前では緊張してます。自分もこういう時期があったっけかなあ、と不思議に思いました。また、少子化に伴い生徒さんも少なく各学年1クラスずつですが、それにしても担任の先生はもちろん養護の先生もあらかた生徒の顔と名前を覚えておられて、生徒数が少ないとはいえこうして細かい指導や支援ができるんでしょうね。でも昔はそうじゃなかったよなあと、体育座りしている順番待ちの生徒さん達の目を見て含み笑いをしてしまいました。私は昭和30年代に気仙沼小学校に入学しましたが、2年の時は9組!でした。もちろん気仙沼中学校3年の時だって学年10クラスありました。気仙沼はそんな大きな市ではありませんし、市内にもほかに学校はたくさんあってこんな感じです。その在校生2000人以上いる小学校なのに保健室は1つで養護の先生も1人だったように記憶してます。これでは養護の先生とはめったに会いませんし自分の名前なんか覚えてくれてるわけがありませんでした…。
 瀬峰小学校でもかつては複数のクラスがたくさんありましたが、今年度から瀬峰中学校と高清水中学校が統合されて栗原南中学校となったように少子化による学校の統廃合が進んでいます。全国的に出生率が下がってますのでなかなか子供の数は増えないでしょうけど、せめて他県や他の市町村からたくさん瀬峰(栗原市)に移住してもらいたいですね。そういえば数か月前の河北新報によりますと、宝島社から発売された「田舎暮らしの本」のなかで2019年度の住みたい田舎ベストランキングでなんと栗原市が「東北エリアの総合1位」でした。これは移住定住の推進に積極的な663の市町村を対象にして移住支援策や子育てなどを含む220項目のアンケートを行ないその回答から数値化したものらしいです。
 さて昭和は遠い昔、平成も前の世代になりましたが令和の小学生たちはどんな成長を見せてくれるのでしょう。

2019-04-18 18:15:00

♪さくら舞い散る中に忘れた記憶と……

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 この前の休日はとある公園とお堀沿いに桜を見に行きました。自分の一番好きな季節は暑い真夏ですが、桜の季節もなかなか好きです。去年のこの時期のブログにも書きましたように桜にまつわる唄はいっぱいありますが、桜で思い浮かべるイメージですぐ出て来るのは、松本清張原作の映画「砂の器」ですね(ちなみに中居正広君主演のドラマではなくもっと前の作品です)。その中で今は亡き加藤剛さん演ずる和賀英良(ワガ エイリョウ)が、父親と放浪する時に出てくる桜の風景が忘れられません。悲哀に満ちたストーリーとは対照的なあまりにも美しい桜の情景が印象的でした。
 さてちょっと前に家族の間で加藤剛さんの話が出たときに、「ああー、あの砂の器でカノエーコー演じた人ね・・・。」と言ってしまいました。しばらく違和感なく「カノエーコー」を連呼してるうちに、「はあ?カノエーコーって、鹿野英孝じゃないの!! おれって何言ってんだろう。」と気づきました。確かに音が似てますが、実際の「ワガ エイリョウ」を思い出したのはその数時間後でした。加齢による健忘かもしれませんが、記憶って年齢とともに桜のように散りゆくものなんでしょうかねえ…? 
 ヒュルリーラ ヒュルリーラ 
2019-04-18 18:13:00

帰去来Ⅶ

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 おそくなりましたが3月17日の日曜日は気仙沼に行ってきました。震災のあった11日とほぼ同じ時期ということになりますが、8年も経過したとはとても思えません。気仙沼に帰るときはいつも市内の名所に寄ります。今回は岩井崎です。岩井崎は海水浴ができるような砂浜はありませんが、芝生が岬まで続いてその先に波の静かな岩場が広がる自然公園です。太平洋はもちろん大島も眺められます(写真)。私が幼稚園の時や小学校低学年の時の遠足といえば必ず連れていかれました。沖からくる穏やかな波が岩でさらに穏やかになって流れてくる波を眺めながら芝生でお弁当、というのがその時の子供たちの定番でした。実は岩井崎の名物は岬の突端にある潮吹き岩です(写真)。この時は珍しく結構な高さまで潮が舞い上がってくれてました。これは海の潮位と波の強さと訪れた時間がマッチしないと起こらない現象なのでとてもラッキーでした。津波で岩井崎の陸の形は変貌してしまいましたが、海の景観は何十年前と変わらぬ様子でした。
 途中、現在は「気仙沼市東日本大震災遺構 伝承館」となっている旧気仙沼向洋高校を車から見ました(写真)。あれほど静かな海がこの建物の4階まで押し寄せたのかと思うと、改めて津波の恐怖を感じました。中には入りませんでしたが後日TVの「ぼんやりーぬ」でサンドウィッチマンの二人が建物の中をレポートしてました。外観から見える廃墟の姿以上にひどい状況でしたが、遺構として多くを語り継いでもらいたいと思います。
 さて帰りは気仙沼といえばこの店という海鮮の専門店で食事をしました。会計をしようと思ったら15年以上前に引っ越ししたため会えずにいた仙台在住の知り合いのご夫婦とバッタリ。お互い「何やってんですか、こんなところで!」とびっくり仰天。自分は出身地ですが、相手の方たちは旦那さんがラグビー好きなので釜石のラグビーW杯会場の鵜住居復興スタジアムを見学しに行った帰りで、途中どうしても気仙沼の魚が食べたく下車したみたいです。こういった方々が数多く気仙沼に来てもらいたいですね。
 岩手ではラグビーW杯、宮城では東京五輪サッカー、福島では聖火スタート、気仙沼は大島大橋完成と派手な話題が続きますが、最近の宮城県民意識調査によりますと、『震災復興を実感しているか』という質問に対してほとんどの地域で過半数の人が『実感している』と答えているのに対して、沿岸部だけは実感している人は半分以下だったそうです。月並みですが迅速な復興を心から願っております。

2019-02-25 18:11:00

歯科医師の使命㉖

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 昨日は登米市民病院2階多目的ホールで開催された宮城県主催、宮城県歯科医師会委託開催の歯科医師認知症対応力向上研修会に参加してまいりました。
 講演は三題で、演題と講師の先生は「認知症の基本知識」坂総合クリニック宮城県認知症疾患医療センター センター長 今田隆一先生、「かかりつけ歯科医の役割り」東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野 教授 服部佳功先生、「認知症の人を支える連携と制度」宮城県地域包括・在宅介護支援センター協議会 副会長 大森洋一郎先生でした。13時から17時までの4時間たっぷり傾聴してまいりました。この研修会は元が厚労省が公表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」であり、これは『認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す』、という考え方になっています。『…実現を目指す』とありますので今の現状ではまだまだということなんですね。そして、超高齢化社会で認知症の人の数が猛烈な勢いで増加の道をたどっていますので、社会全体で支援し合って行かなければ誰もが大変な状況に追い込まれてしまうと言うことです。
 今回は演題通り、認知症の基本と歯科医師としての責任、そして実際の社会における支援体制について学びました。例えば、アルツハイマー型認知症は95歳になるとほぼ全員がその症状を発現するそうです。ならばそれは病気では無いのではないかという考えもあるそうです。実際ほぼ半分の高齢者は認知症になると言われていますので、認知症のケアも大事ですが、共生していくことを平常に考えるということになります。
 また認知症対策として早期の発見、早期の受診が重要となってきます。確かに歯科は認知症予防には今では欠かせない領域となっていますが実は歯科医師、特にかかりつけであれば、長年にわたって同じ患者さんを見続けているので、その患者さんが認知症になった時一番初めに気づくのが歯科医師である場合が多いらしいです。そこに「かかりつけ」の大きな意義があるので、歯科ではかかりつけを持つことが大事だということでしょうね。
 このようにみてきますと認知症は他人ごとではないので、ついつい自分に当てはめて聞いておりました。たとえばアルツハイマー型認知症ですと物忘れの症状から始まるようですが、自分でも「あれはどこに置いたっけかなあ…。」とか「あれ?ここに何を取りに来たんだっけ?」ということがよくありそのたびにビビりますが、その多くは加齢によるものであり認知症の症状とはやや異なることだと知り少し安心しました。
 しかし認知症にならない保証はなく、一番興味があって聞いたのは認知症発症の危険因子(脳外傷、肥満、高血圧など)や抑制因子(教育、運動、地中海食など)で、最も今有効と考えられているのは運動することだそうです。かつて野球部で猛練習を自負したのも今は昔…。駅の階段でつまづいたこともある今日この頃の自分。開業して既に30年以上たっていますので、古くから通院していただいてる患者様に対し『あれ、○○さん最近なんかちょっと…。」と判断する前に、逆に患者様から『まさと先生?最近ずいぶん忘れっぽいんじゃないの?』とご指摘を受けないよう努力したいと思います。

2019-02-21 18:09:00

帰去来Ⅵ

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  1月末に親戚の告別式があり気仙沼に行ってきました。診療終了後の夜に発ち一泊して雪の積もった早朝に帰ってきましたので、素の気仙沼は見てきませんでした。
  先日その香典返しとして届いたのは、気仙沼 男山本店の日本酒「蒼天伝」純米吟醸、特別純米酒、特別本醸造の3本でした(写真)。お酒は飲みますが日本酒はさほどではないので詳しくありませんが早速、蒼天伝の特別純米酒を夕食に飲んだところ、無駄な甘さや苦さが無く、誰でもすいすい行けそうな透き通るような味わいで思わず「こりゃヤバイ!」とそのおいしさに正直驚きました。
 かつて男山本店は実家のそばにある大島汽船の発着所の向かいにあり、小学校の頃は道路を隔てた広場で遊んでいたので、野球のボールがお店の中に転がっていくこともよくありました。しかし震災によって店は倒壊、流出。辛うじてやや高い場所にあった酒蔵だけが残り、現在の菅原社長が震災前に仕込んだ酒を甚大な被害を乗り越え完成させた話はよく知られているところです。
  昨年秋、深キョン(深田恭子さん)がナビゲーターとして日本とフランスの交流を特集したテレビ番組に男山の日本酒が登場しました。フランス料理ではあっさりした魚介には軽い白ワイン、こってりした肉料理には重い赤ワイン、デザートには甘いデザートワインをカップリング(仏語ではマリアージュ。結婚という意味。)させます。つまりシェフが作った料理に最も合うワインをソムリエがチョイスし組み合わせる、ということが今では一般的のようです。この番組内で紹介されたのは、数十種類のおいしい日本酒をそれぞれフランスの各レストランに届け、その日本酒に最も合う料理を作ってもらうという企画でした。その中で代表して登場したのはまさしくこの日飲んだ男山の酒「蒼天伝 特別純米酒」でした。届けられた先のレストランはなんと先代シェフが最初にマリアージュの考えを提案したお店だそうです。
 そしてシェフが蒼天伝を試飲し考案したのは気仙沼では最もポピュラーな食材のひとつ、カツオを用いた料理でした。そこに菅原社長がはるばる招待され震災を乗り越えた男山の酒と、世界有数の美食であるフレンチとのマリアージュを堪能し感無量となったところが映っていました。これからこのお酒のようにあの悲惨な震災を耐え抜いた気仙沼のいろいろなところが、日本だけではなく世界からも評価してもらいたいと思いますね。 
 さてフランス料理ではその地方の料理はその地方のワインとマリアージュさせるというのも一つの基本らしいです。世界の人々に男山の酒を手に入れていただいて、気仙沼産のカツオ、サンマ、ホヤ、フカヒレ、モウカの星など最強の食材でマリアージュしてほしいですね。モウカの星?フフフ、サメの心臓だでば。