院長ブログ

2019-06-29 21:14:00

歯科医師の使命㉙

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 6月8日(土)は「栗原市歯科医師会 歯の衛生週間行事」として志波姫のエポカにて講演会が開催されました。演題は「体と心の元気はお口から~『食べて、話して、大笑い』ができる口とは~ 」で、講師は東北大学大学院歯学研究科 口腔保健発育学講座 予防歯科学分野教授 小関健由先生でした。当医院は私はじめ病院スタッフみんなで参加しました。講演内容は、最近は歯と全身的なテーマが多い中、今回はズバリ虫歯予防についてです。虫歯予防の3大要素は①細菌 ②砂糖 ③歯質ということになります。これらをコントロールするには①は歯磨き、②は食生活の見直し ③はフッ素の応用ということです。フッ素については2017年に厚生労働省が最大1500ppmまでのフッ化物配合歯磨剤を承認(15歳以上)しましたので、虫歯予防には大きな効果が期待できるということです。また歯周病についてはひたすら汚れを除去することが大事ということでした。
 さて最後の質問の時間で話題になったことは、つい最近テレビの健康番組で虫歯予防の先進国スウェーデンで、日本人にはとてもマネできない歯磨きの方法が一般的だということでした。その方法とは歯ブラシに歯磨き剤をつけて歯磨きしますが、そのあとは何と口をすすがない!というものです。「うーむ。自分には無理だなあ…。」と思いましたが、その根拠というのは、歯磨き剤の多くにはフッ素が添加されていますが、これを歯に作用させて定着させるには一定時間口の中にとどめておくことが必要なのです。つまりたっぷり歯磨き剤をつけて歯磨きした後に、すすがない方がフッ素が歯に取り込まれて虫歯予防効果を高めるということになります。
 このことについてある質問者から、「これまで歯磨きは少量で良いと指導してきたが、これからどう指導してよいかわからない。」とか、他の質問者からは「フッ素はいいが、他の成分も飲むことになるが大丈夫か?」という話になりました。これについて小関先生は、「他の成分はほとんど無害であり、それぞれに異なる使用目的があるわけなので何もつけずに歯磨きし、フッ素洗口剤でうがいしたあとすすがないことが最も効果的。」との回答をいただきました。私もそれが最善の方法だと思いましたので納得して終わることができました。
 それにしてもスウェーデンでは歯磨きしたあとすすがないとは…。イギリスでは食器を洗剤で洗ってもすすがないでそのまま使うとも聞きます。なんでもきちんとしたい日本人の国民性には合いませんね。なんといってもウォシュレットを考え出すような国民ですしね。ウォシュレットといえば、映画「テルマエ・ロマエ」でローマ帝国?から来た阿部ちゃんが、初めてそれを使用した時の恍惚の表情を思い出していつも笑ってしまいます。口もとことんきれいにし、フッ素で仕上げましょう。

2019-06-07 21:13:00

恐怖の味噌汁

201906071240457410.jpeg 一昨日、食事の時に味噌汁のお椀を見たらなんと巻き麩(ふ)が開いてハート型になっていました(写真)。「おー!これは面白い。早速インスタにあげなきゃ!」と叫びましたが、インスタなんてやってないし。
へっへっへ。
  「これは何かの吉兆かあ?さては今夜の巨人戦での楽天勝利か!」、と確信し一気にこの麩だけ飲み込みこみました。期待通り楽天は快勝でした。
はっはっは。
  麩といえば、最近話題のグルテンフリーでは悪者にされがちですが、グルテンに対してアレルギーが無ければ大丈夫らしいです。今全仏で戦っているジョコビッチの本でグルテンフリーがブームになってますが彼はグルテン アレルギーみたいです。
しかし昔からアレルギーもなくコイのようにパクパク食べていた私は、恐怖の(今日麩の)味噌汁を飲んでいます。
ふっふっ麩。
2019-05-29 21:11:00

帰去来Ⅷ

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 19日の日曜日は親戚のお悔みで気仙沼に行ってきました。法事の会食は「網元の宿 和風ホテル磯村」で行われました。十分すぎるほどの海の幸を堪能し、故人を偲び思い出話に花を咲かせ終わったあとは、昨年のブログで紹介した屋上に皆さんと見学に行きました。周辺は昨年とやや異なり、区画整理された土地に少しずつ建物が建築中とか予定にあるとかの雰囲気が見て取れました。でもやはり目玉は大島大橋でしょう。真正面に見える大島の中央にはどでかいアーチの大橋、通称「鶴亀大橋」が威風を示しています(写真)。
 ご存知のように連休中の混雑は言うに及ばず、ここまでの来島者数はすでに年間のそれを上回ってしまったらしいです。はるか遠くに見えますが行き交う銀色に光る車の流れがはっきり見え、まるで東北自動車道じゃないのかと思わせるほどでした。しかし、今はこの鶴亀大橋が旬ですが、実はそんなのは始球式みたいなもんで、これからが本番なのは三陸自動車道をつなぐ気仙沼湾をまたぐ大橋の建設です。この日は磯村の屋上からその橋の支柱がはっきりと見えていました(同写真)。こんな遠くからあんなにでかく見えるなんて…、と驚くのもいいけど行ってみようと思い、さっそく車で近くまで行ってみました。
 およそ1Km近くまで行くとその巨大さがわかります。さらに直下まで到達すると、あまりの大きさに気仙沼史上最大の建造物ではないかとびっくり仰天です(写真)。桟橋に一基、湾の海上に一基できていました(写真)。その天空につきささるような姿は、SFや映画並みの迫力ですね。こういう構造ですと昔よく聞かされた「ジャックと豆の木」を思い出します。雲の上の世界に行くにはこれぐらい太い豆の木じゃないと無理でしょうね。それを切り倒すのはもっと無理ですが…。
 世の中の人工的な建造物について、今だに疑問なのは、超高層ビル建築で屋上にあったクレーンはどうやって撤去するのかと、新幹線のロングレール(1kmはあるでしょう)はどうやって工場から持ってくるのか、それと峡谷や海にかける橋はどうやって吊るすのか、です。ネットで調べれば数分でわかることですが、そういうことを考えるのはとても好きなので、眠れない時など延々と考えています。
 さて鶴亀大橋の景観だけでも見る人を圧倒しますが、この横断橋ができたらどんなにすごい迫力になるのでしょう。三陸道を利用するというよりこの橋を見にくるだけの観光客がたくさんくるでしょうね。期待してます。もし宿泊の際は「和風ホテル磯村」を利用していただくことも期待しています。

2019-05-15 21:08:00

歯科医師の使命㉘

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 11日の土曜日は栗原市歯科医師会の令和元年度第1回学術講演会が志波姫のエポカ21(写真)で開催されました。演題は「顔面骨格形態の診断と外科的矯正治療」で、講師は東北大学大学院歯学研究科、顎口腔矯正学分野教授の溝口到先生でした。歯科矯正、いわゆる歯並びを治す治療というのは見た目を良くするという意味もありますが、口の機能を改善するという大きな目標があります。それを歯を抜く、削る、かぶせるといった歯の形を変える手段ではなく歯を移動させて実現するといういわば流派の違う治療ということになります。当然矯正歯科の専門医はかなりの専門知識を必要とされますので、我々一般開業医にとっては勉強になることが多いですね。
 この日の講演では矯正歯科学の変遷と進化についてお話しいただきました。その中での一番の革新は、矯正歯科の基本は動かしたい歯に対して他の歯を支点にして力を加えます。すると力がかかった歯は動きますが、支点となった歯も必ず作用反作用で動いてしまう。しかし現在では矯正用のインプラント(人工歯根)をあごに埋め込み、それを支点に歯を動かすようになったため、他の歯の無用な動きがかなり少なくなったことです。また現在でも矯正用のワイヤー(歯にかける針金)は、人(歯科技工士)の匠の技で曲げていますが、今ではなんとコンピュータが設計を読み込み、機械が曲げてくれるそうです。いやはやどこまで進化するのでしょう。
 そして本題は顎顔面形態の診断についてと外科的矯正治療についてです。歯並びだけを治すのであれば歯を動かすだけで済みますが、例えば上あごに対して極端に下あごが大きかったり右や左に曲がっていると、歯だけを動かして治療するのは不可能です。それには下あごをえら付近で切り(顎切)、奥に引っ込ませるという手法をとります。それにはあごを切った後の歯並びを予想して矯正し、手術後仕上げの矯正をして終了します。一般に歯科矯正は健康保険適用になりませんが、顎切の多くは顎変形症なので保険適用になります。顎切そのものは私が学生時代から行われていましたが、現在のすごいところは診査、診断、治療後のシミュレーションまでコンピュータが管理するということですね。あごを奥に引っ込めるとどんな顔貌になるかをコンピュータがCGで予測します。こうなると患者さんも術後の自分の顔をイメージしやすいですね。
 この点に関して興味深いデータを示していただきました。CGで同一女性の下あごだけを前後に動かした場合、どの程度の下あごの出具合が最も美人に見えるかという問いについて、男性から見ると下あごがやや引っ込んだ方が、女性から見るとやや出っ張ってるほうが美人に見えるというものです(写真)。しかし、日本の女性が最もなりたい顔の女性と言われているのは北川景子さんですが、彼女は整形疑惑があるほど下あごが小さいので、女性は下あごの出具合だけでは決まらないと思いますがね。
じゃあいい男の場合は何で決まるかといえば、腹の出具合でしょうか…。
2019-04-28 18:17:00

歯科医師の使命㉗

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 一昨昨日は瀬峰小学校に歯科検診に行ってきました。瀬峰小学校の歯科校医は私を含め2名で今年は1~3年生の低学年を検診しました。口の中の状況については、最近お話していますように10年以上前と比べると虫歯を持つ生徒さんあるいはその持っている虫歯の数はぐっと減っていることですね。しかしその中に一人で多くの虫歯を抱える子供さんも相変わらず何人か見られることも変わらずです。
 とにかく小学校低学年ですと、表情やリアクションが素直で検診しててもとても楽しいですね。先生の言うことはよく聞くし、それ以上に私の前では緊張してます。自分もこういう時期があったっけかなあ、と不思議に思いました。また、少子化に伴い生徒さんも少なく各学年1クラスずつですが、それにしても担任の先生はもちろん養護の先生もあらかた生徒の顔と名前を覚えておられて、生徒数が少ないとはいえこうして細かい指導や支援ができるんでしょうね。でも昔はそうじゃなかったよなあと、体育座りしている順番待ちの生徒さん達の目を見て含み笑いをしてしまいました。私は昭和30年代に気仙沼小学校に入学しましたが、2年の時は9組!でした。もちろん気仙沼中学校3年の時だって学年10クラスありました。気仙沼はそんな大きな市ではありませんし、市内にもほかに学校はたくさんあってこんな感じです。その在校生2000人以上いる小学校なのに保健室は1つで養護の先生も1人だったように記憶してます。これでは養護の先生とはめったに会いませんし自分の名前なんか覚えてくれてるわけがありませんでした…。
 瀬峰小学校でもかつては複数のクラスがたくさんありましたが、今年度から瀬峰中学校と高清水中学校が統合されて栗原南中学校となったように少子化による学校の統廃合が進んでいます。全国的に出生率が下がってますのでなかなか子供の数は増えないでしょうけど、せめて他県や他の市町村からたくさん瀬峰(栗原市)に移住してもらいたいですね。そういえば数か月前の河北新報によりますと、宝島社から発売された「田舎暮らしの本」のなかで2019年度の住みたい田舎ベストランキングでなんと栗原市が「東北エリアの総合1位」でした。これは移住定住の推進に積極的な663の市町村を対象にして移住支援策や子育てなどを含む220項目のアンケートを行ないその回答から数値化したものらしいです。
 さて昭和は遠い昔、平成も前の世代になりましたが令和の小学生たちはどんな成長を見せてくれるのでしょう。