院長ブログ

2023-09-10 10:25:00

歯科医師の使命 51

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 本年5月より介護老人保健施設「藤の里」様の歯科協力医となりました。月に2〜数回の訪問歯科診療をさせていただいています。8日はその往診の日でした(写真1,2)。施設様の場合、新型コロナ感染の予防のため、通常ご家族様との面会が不可となっている場合が多く、入居者様も安易に通院できないため、患者様にとっても我々にとっても往診は大事な機会です。

 藤の里様にはご高齢の入居様がたくさんいらっしゃいますが、老健施設とはいえ超高齢でも矍鑠(かくしゃく)とした方も大勢いらっしゃるのに驚かされます。「こんなにきちんと説明できてお話しできて、それで95歳なの!?」という方は珍しくありません。体の面で不自由な点はありますが、歳を重ねたなりの治療中の振る舞いや会話の内容でこちらが学ばされることも多いです。よく歳をとると頭の働きも体力も弱ってきてしまい、「歳をとるのはいやだ。」「歳はとるもんじゃない。」とおっしゃるご高齢の方がいらっしゃいますが、亡くなった元聖路加国際病院院長の日野原重明先生の著書の中に「体が衰えてきたとしても、高齢者にしかできないことがある。高齢になって初めてわかることもある。つまり新しい世界が広がるから歳をとることは悲観することはない。」という趣旨の文章を書いておられました。

 私も歯科医師になって40年以上経ち、いわゆる定年退職の年齢もとっくに過ぎていますが、未だにこんなこと初めてだなという臨床経験に何度も出会います。もちろん新しい治療方法や機器も次々と出てきますので、歯科はこの先どうなっていくのだろうと思いをはせるにつけ年齢のことは考えていられません。かつて米国元帥のマッカーサー氏が退任演説で「老兵は死なず、消え去るのみ。」と言ってましたが、私は当分「消え去りません。」ね。