院長ブログ

2019-11-08 21:51:00

日本庭園で叩きつけられた日

201911082147202161.jpg201911082147224924.jpg

 11月3日は仕事で上京したついでに駒込にある都立庭園の六義園(リクギエン)へ寄ってきました。アニメ映画で聖地巡礼の名所となった新宿御苑と比べるとかなりこじんまりしてますが、完成度からするとこちらの方がまとまっているような気がします。
 さて、入場券を買って間もなく何やら三味線の音色がしてきました。園内の舞台では津軽三味線奏者の山中信人さんの演奏が始まるところで(写真)、立ち止まって聞くことにしました。「リンゴ追分」、「さくらさくら」、と続き和の気分に浸った後に演奏した「津軽じょんがら節」はまさに圧巻!このビートはほとんどロックでした。三味線なので聴衆の多くはオジちゃん、オバちゃんでしたが、この迫力は全ての世代に通じそうです。この人はいったい何者?と思いましたが、話によるとこの山中さんは音大の現役講師で津軽三味線の全国大会では三連覇してるそうです。
 三味線は子どもの頃、座敷で演奏するところを生で見たことがあります。その時からのイメージは行燈の明かりが映る障子の部屋で、三味線をつまびきながら流れる小唄。そしてその隣の部屋では田村正和さん演じる眠狂四郎がおちょこで酒を味わっている的な…。あるいは、故古賀政男さんが弾く三味線で故美空ひばりさんが歌う都々逸のテレビ映像を見たことがありますが、そういう風情のあるシチュエイションですね。
 そんなダンボールにしまってある小学校の図工の作品のような三味線のイメージを、根底から覆されたのは、数年前に津軽三味線の吉田兄弟がアサヒスーパードライのCMに出た時でした。アサヒだから曲名が『RISING』なんでしょうけど、三味線でここまでやるか!これじゃあロックだよ!と驚嘆しました。しかし今回はなんたって津軽じょんがら節ですから曲がそうなのか、津軽三味線がそうなのか。山中さんの話では普通の三味線と違い津軽の場合はバチを玄に叩きつけるように演奏するといってました。この曲を聞き終わった後は自分が何かに叩きつけられたようにテンションあがりっぱなしで、心穏やかに日本庭園を散策のつもりが池(写真)に向かって思いっきり絶叫したい心境でした。
 と、感動しつつも例によって「なぜ『六義園』は(リクギエン)と読むのだろう…。そういえば与謝野鉄幹の「人を恋ふる唄」の中で『…六分(リクブ)の俠氣四分の熱…』とあったが…。フツウは六分儀(ロクブンギ)とか六波羅(ロクハラ)と言うのに…。ううむわからん。」と思いを巡らせながら、池の水面を眺めているうち心がスーっと落ち着いてきたのです。東京のど真ん中にありながら、これが日本庭園のパワーと言うものでしょうね。