院長ブログ

2019-02-25 18:11:00

歯科医師の使命㉖

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 昨日は登米市民病院2階多目的ホールで開催された宮城県主催、宮城県歯科医師会委託開催の歯科医師認知症対応力向上研修会に参加してまいりました。
 講演は三題で、演題と講師の先生は「認知症の基本知識」坂総合クリニック宮城県認知症疾患医療センター センター長 今田隆一先生、「かかりつけ歯科医の役割り」東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野 教授 服部佳功先生、「認知症の人を支える連携と制度」宮城県地域包括・在宅介護支援センター協議会 副会長 大森洋一郎先生でした。13時から17時までの4時間たっぷり傾聴してまいりました。この研修会は元が厚労省が公表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」であり、これは『認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す』、という考え方になっています。『…実現を目指す』とありますので今の現状ではまだまだということなんですね。そして、超高齢化社会で認知症の人の数が猛烈な勢いで増加の道をたどっていますので、社会全体で支援し合って行かなければ誰もが大変な状況に追い込まれてしまうと言うことです。
 今回は演題通り、認知症の基本と歯科医師としての責任、そして実際の社会における支援体制について学びました。例えば、アルツハイマー型認知症は95歳になるとほぼ全員がその症状を発現するそうです。ならばそれは病気では無いのではないかという考えもあるそうです。実際ほぼ半分の高齢者は認知症になると言われていますので、認知症のケアも大事ですが、共生していくことを平常に考えるということになります。
 また認知症対策として早期の発見、早期の受診が重要となってきます。確かに歯科は認知症予防には今では欠かせない領域となっていますが実は歯科医師、特にかかりつけであれば、長年にわたって同じ患者さんを見続けているので、その患者さんが認知症になった時一番初めに気づくのが歯科医師である場合が多いらしいです。そこに「かかりつけ」の大きな意義があるので、歯科ではかかりつけを持つことが大事だということでしょうね。
 このようにみてきますと認知症は他人ごとではないので、ついつい自分に当てはめて聞いておりました。たとえばアルツハイマー型認知症ですと物忘れの症状から始まるようですが、自分でも「あれはどこに置いたっけかなあ…。」とか「あれ?ここに何を取りに来たんだっけ?」ということがよくありそのたびにビビりますが、その多くは加齢によるものであり認知症の症状とはやや異なることだと知り少し安心しました。
 しかし認知症にならない保証はなく、一番興味があって聞いたのは認知症発症の危険因子(脳外傷、肥満、高血圧など)や抑制因子(教育、運動、地中海食など)で、最も今有効と考えられているのは運動することだそうです。かつて野球部で猛練習を自負したのも今は昔…。駅の階段でつまづいたこともある今日この頃の自分。開業して既に30年以上たっていますので、古くから通院していただいてる患者様に対し『あれ、○○さん最近なんかちょっと…。」と判断する前に、逆に患者様から『まさと先生?最近ずいぶん忘れっぽいんじゃないの?』とご指摘を受けないよう努力したいと思います。