院長ブログ

2019-02-21 18:09:00

帰去来Ⅵ

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  1月末に親戚の告別式があり気仙沼に行ってきました。診療終了後の夜に発ち一泊して雪の積もった早朝に帰ってきましたので、素の気仙沼は見てきませんでした。
  先日その香典返しとして届いたのは、気仙沼 男山本店の日本酒「蒼天伝」純米吟醸、特別純米酒、特別本醸造の3本でした(写真)。お酒は飲みますが日本酒はさほどではないので詳しくありませんが早速、蒼天伝の特別純米酒を夕食に飲んだところ、無駄な甘さや苦さが無く、誰でもすいすい行けそうな透き通るような味わいで思わず「こりゃヤバイ!」とそのおいしさに正直驚きました。
 かつて男山本店は実家のそばにある大島汽船の発着所の向かいにあり、小学校の頃は道路を隔てた広場で遊んでいたので、野球のボールがお店の中に転がっていくこともよくありました。しかし震災によって店は倒壊、流出。辛うじてやや高い場所にあった酒蔵だけが残り、現在の菅原社長が震災前に仕込んだ酒を甚大な被害を乗り越え完成させた話はよく知られているところです。
  昨年秋、深キョン(深田恭子さん)がナビゲーターとして日本とフランスの交流を特集したテレビ番組に男山の日本酒が登場しました。フランス料理ではあっさりした魚介には軽い白ワイン、こってりした肉料理には重い赤ワイン、デザートには甘いデザートワインをカップリング(仏語ではマリアージュ。結婚という意味。)させます。つまりシェフが作った料理に最も合うワインをソムリエがチョイスし組み合わせる、ということが今では一般的のようです。この番組内で紹介されたのは、数十種類のおいしい日本酒をそれぞれフランスの各レストランに届け、その日本酒に最も合う料理を作ってもらうという企画でした。その中で代表して登場したのはまさしくこの日飲んだ男山の酒「蒼天伝 特別純米酒」でした。届けられた先のレストランはなんと先代シェフが最初にマリアージュの考えを提案したお店だそうです。
 そしてシェフが蒼天伝を試飲し考案したのは気仙沼では最もポピュラーな食材のひとつ、カツオを用いた料理でした。そこに菅原社長がはるばる招待され震災を乗り越えた男山の酒と、世界有数の美食であるフレンチとのマリアージュを堪能し感無量となったところが映っていました。これからこのお酒のようにあの悲惨な震災を耐え抜いた気仙沼のいろいろなところが、日本だけではなく世界からも評価してもらいたいと思いますね。 
 さてフランス料理ではその地方の料理はその地方のワインとマリアージュさせるというのも一つの基本らしいです。世界の人々に男山の酒を手に入れていただいて、気仙沼産のカツオ、サンマ、ホヤ、フカヒレ、モウカの星など最強の食材でマリアージュしてほしいですね。モウカの星?フフフ、サメの心臓だでば。