院長ブログ

2017-07-15 12:28:00

歯科医師の使命⑱

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 去る7月2日は横浜市のパシフィコ横浜で開催されました日本補綴歯科学会学術大会に出席してきました。今回の学会は年に一度の全国規模の大会ですので会場も大きく発表内容も盛りだくさんでした。ただ、すべての発表を見ることは不可能でしたが、私の大学での直接の師匠で岩手医科大学名誉教授(現在は東京都内で開業) である田中久敏先生の特別講演が行われるということでそれだけはしっかり拝聴してきました。
 テーマは『温故知新 先人達に学ぶ  ー補綴で最も大切なものは何かー』でした。これまで数々の名声を得た田中先生ですがさすがに高齢となり前抄録でも「レジェンド」と紹介され、約30年前自分がガンガン指導されてた時期を思い出すにつけ時の流れを感じた瞬間でした。田中先生の専門は歯科補綴学の中でも習得が難しいと言われている総義歯(総入れ歯)学です。他の領域と比べこの総義歯学の難しいところは数字やデータで表現しずらいところです。もちろん確立された理論はありますがそれを各個人(患者さん)で表現するのは難しく、学生や他の歯科医師に指導、教育するののも難しいと思います。ですから多くの臨床経験を積んでもなかなか患者さんの満足を得られにくい、いわばアナログ的な領域とも言われます。そのためデータで表現する論文には向かないため業績として評価され難く、いかに素晴らしい総義歯を作れても、卓越した指導者(歯科医師)として認められにくい様な気がします。当然これほど総義歯で苦しんでいる患者さんがいるにもかかわらず、歯科医師自身も総義歯という領域で苦労しているのが実情だと思います。
 良い総義歯を患者さんに提供するためにはより多くの研鑽を積むしかないのでしょうね。しかしそれは歯科における全ての領域にあてはまるわけで、また初心に戻された学会でした。