院長ブログ

2017-03-11 11:28:00

歯科医師の使命⑮

 
 201703151823207575.jpg今週は市内の入院設備のある医療機関に往診に行ってきました。大きな総合病院ですと歯科が併設されてる場合もありますが、この医療機関では院内に歯科がなく入院している患者さんの口腔内に問題が起きた場合、外部の歯科医院に協力を求めることになっています。
 入院患者さんと歯科のかかわりのポイントはおおざっぱに言えば2つあります。一つは歯にトラブルが生じ食事に障害が起きてしまった場合です。入院患者さんの場合その病状がどれだけ迅速に改善するかどうかは、点滴などの栄養ではなくいかに早く一般の食事に移行できるかにかかっているそうです。もう一つのポイントは手術前後の口腔ケアです。ご存知のように口の中は管理をおろそかにするとばい菌の供給源となります。例えば重度の歯周病ですと、歯周病菌が歯肉の血管に容易に入り込み血液によって全身に運ばれることが考えられています。つまり大きな手術では身体に大きな傷口を作るわけですから、外部からのばい菌の侵入を防げたとしても自身の口腔内から簡単にばい菌が侵入してくることになります。このことから、手術前後の口腔ケア(特に口腔清掃)は非常に重要だと今では当然のことと認識されています。
 もともと栗原市の栗原中央病院では、入院前後の口腔ケアについて写真にあるように栗原市歯科医師会と共同でパンフレットを作成し、入院患者さんに配布することで歯科の受診を勧めていました。また大崎市の大崎市民病院では、これからがん患者さんをはじめ手術をする患者さんにおいては原則として術前に全員歯科を受診するよう勧められることになりました。
 今までは歯と全身の関連を声高に主張してきた我々も、いざこのような役割を与えられると緊張感と責任感も大きくなり仕事のテンションが上がってきますね。我々の微力な協力ですが一日でも早く入院患者さんが退院されることを願っています。