院長ブログ

2016-11-09 08:57:00

歯科医師の使命⑫

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 さる11月6日(日)は新潟市の朱鷺メッセで開催された日本補綴歯科学会関越支部学術大会に出席してきました。『補綴歯科』というのは簡単に言えば失われた歯をはじめとする口腔器官を修復する学問領域です。具体的には入れ歯や銀歯、ブリッジ、インプラントなどがこれらに含まれます。私はこの学会の専門医として認定されていますが、年数回ある補綴学会への出席が義務づけられているほか、専門医研修会も参加するようになっています。今回は北関東と新潟の大学主体の学会です。
 午前の学会では大学の若い先生がたが新しい研究の発表を緊張した面持ちで口演していましたが、つい30年前の自分を思い出してしまいます。午後の専門医研修会は『超高齢化社会の歯科補綴の役割とは』をテーマに東京都健康長寿医療センターの渡邊裕先生が『オーラルフレイルの現状と歯科補綴の役割』、新潟県佐渡市、渡部歯科医院の渡部守先生が『地域患者の生活を支える歯科補綴を目指して』と題し講演しました。主な講演内容は、もともと人間はよく噛むことができないと認知症に進んでいくということはよく言われてますが、口腔機能が低下すると(食べられないと)栄養不良に陥り、体の機能が衰え(フレイル)認知機能が低下し、さらに食べることができなくなりもっともっと栄養不良になりと、どんどん負のスパイラルに陥ってしまうしまうということです。さらに歯がないと食べられないことはもとより『見た目』が悪くなり、人と会うのを避けるようになり、やがて社会性を失って認知症に進んでしまうということです。こういった内容は何度もブログに書いていますが、どこでも聞かされる超高齢化社会の共通の命題なんですよね。
 ところで会場の朱鷺メッセは高層ビルで最上階からは日本海が見えました。仙台は快晴でしたが新潟の海は突風で波が荒く雲やもやが沿岸に迫っておりました。『この巨大なグレーの壁の向こうに韓国や北朝鮮があるのか・・・。』と思うと、子供のころから太平洋ばかりを見て育った自分にとっては異国を思わせる景観でした。