院長ブログ

2016-08-31 08:34:00

歯科医師の使命⑩

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 今日は築館の栗原文化会館で行われた平成28年度栗原市お口の健康サポーター養成講座で講師として招かれ約50分間『歯の役目と病気について』と題し講演してきました。
 この企画は栗原市が主催したもので、参加された方は一般の方と介護職の方々でした。今年講話(講演)をするのは瀬峰中学校以来2回目ですが、今回は市側からの要請で歯周病中心の内容をお話しすることになりましたので中学生の生徒さんの時とは違い、成人あるいは高齢者をかなり意識した論点で話をさせていただきました。
 お話しした要点を箇条書きにしますと、
①歯の役割と全身とのかかわり
②高齢者における歯の重要性(寝たきり、寿命、認知症などとの関係)
③誤嚥性肺炎とは
④歯周病と全身疾患の関係
⑤歯周病の予防
⑥現代の歯科医療の姿(前時代との違い)
 などです。
 話の中で最も意識してもらいたかったのは、『歯の健康というものが高齢者のライフスタイル、あるいはQOL(生活の質)に大きな影響を与えるということ。つまり子どものうちは誰もが似たり寄ったりの活動を送れるが、高齢者になると人によってそのADL(日常生活動作:日常生活で必要とする動作をどれだけ自力でできるか)に大きな差がでる。その差の決定要素の一つとして歯の健康があるのではないかということ。』でした。日本人の平均寿命は男性79.55 女性86.3歳です(厚生労働省 平成22年)。もちろんこれは世界でもトップクラスですし、誰もが『日本人って長生きするんだ。』と思うでしょう。しかし『健康寿命』は男性70.42歳 女性73.62歳です。この『健康寿命』というのは人の手を借りずに生きていられるまでの年齢のことを言います。つまり男性では死ぬまでの9.13年間、女性では12.6年もの間は人の手を借りなければ生きていけないということになります。誰だって死ぬ直前まで自立した生活を送っていたいですよね。この人の手を煩わせる期間をいかに短くするかが今後の高齢化社会での達成すべき命題だと思います。その役割の一つが歯の健康を保つことではないでしょうか。