院長ブログ

2016-06-17 08:24:00

歯科医師の使命⑨

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 昨日は歯科校医を任されている瀬峰中学校で歯科講話を行ってきました。歯科校医の主な仕事は年1~2回の生徒の歯科健診と学校保健委員会(これも年1~2回開催)への出席です。20年以上前、歯科校医に任命された当時はそれだけでしたが、その後養護の先生との話し合いのなかで、こんな旧態依然の後手後手のやり方では何の改善にもならないという話になり、全校生徒の前で歯科の講話をすることになりました。
 つまり・・・・
 従来生徒への歯科教育はあまりされておらず、健診で『君にはむし歯があるよ』と宣告されると、ひたすらむし歯を治しに歯医者に行くしか取るべき方策がありませんでした。重要なのはむし歯とはなんなのか、どうすれば予防できるのかをまず生徒たちに理解させ、むし歯をつくらず歯医者にかからないことです。もし不幸にしてむし歯ができたら迅速に治療をするというのが本筋ではないでしょうか。『こうすればむし歯や歯周病の予防ができるんだよ』と言われれば対策の取りようもあるし、もしむし歯ができてしまっても改善のモチベーションは上がるはずです。ただし歯科医院はむし歯や歯周病予防の役目の一翼を担っていますので、歯科医院にまったく通院しないということはあり得ませんが。
 さてその講話は年1回ですから内容的には限られますので、要点を狭めることでインパクトを強くするようにしています。また年1回、3年間ですので3話完結にすることによって卒業まで必ずすべての話が聞けるようにしています。3回の主な内容は ①歯の病気と健診の内容について ②歯と食べ物 歯磨きの仕方 ③歯と全身とのかかわり 歯とスポーツ です。今年は②の内容でした。
 会場は瀬峰中学校体育館で3学年全員に集まってもらい約40分にわたって講話をしました。たった3学年とはいえやっと小学校を卒業したばかりの生徒とほとんど高校生みたいな生徒が混在していますから、すべての生徒の興味を引くように、そして十分理解できる様にしなければならないので学術的な内容の難易度の設定に苦労します。しかし私は教育現場の先生ではありませんので、パソコンを用い様々なイラストや写真をたくさん提示し気楽に見てもらえるようにしています。ただ生徒たちは理解しているのかどうかやはり心配ですので、そのあと診療にたまたま来た中学生の生徒に「今日の話わかった?」と思わず確かめたりしています。はたして講話の効果はいかなるものかは検証することはできませんが、学校保健委員会でのデータによりますと年々虫歯の発症率は減少しているとのことで、何らかの好影響はあるのではないでしょうか。
 さて毎度のことですが歯科講話を始めたころの瀬峰中学校の生徒数は3学年で300名弱でした。ところが現在は150人に足りません。昨日は体育館に入場したときバスケットコート2面もとれるほどの広さに、ひとかたまりの生徒さん達がいましたが、あまりの不釣り合いに「居残りの生徒だけしか来ていないのかなあ?」と思うほどでした。校長先生のお話では『この学校だったら最大300人位まで生徒を受け入れることは可能です。』とおっしゃってました。何とか瀬峰地区の生徒さんが少しでも増えてもらいたいですね。